ディエンビエンフー

ディエンビエンフー

「ディエンビエンフー」(西島大介)

”月刊IKKI”で2006年から掲載していた作品です。

この作品最近買ったのですが、面白くて続刊を一気(IKKIだけに)に買いました。物語は1960年代のベトナム戦争が舞台なんですが、デフォルメされた可愛いキャラと相反する、残虐なシーンありのちょっと不思議な漫画です。冒頭に書かれる「本当の戦争の話をしよう」(ティム・オブライエン著・村上春樹訳)の序文で何かしら惹きつけられる人は、たぶんこの作品を楽しめるんじゃないかと思います。

序文:多くの場合、本当の戦争の話というものは信じてもらえっこない。すんなりと信じられるような話を聞いたら、眉に唾をつけたほうがいい。真実というのはそういうものなのだ。往々にして馬鹿みたいな話が真実であり、まともな話が嘘である。何故なら本当に信じがたいほどの狂気を信じさせるにはまともな話というものが必要であるからだ。

ということで、今回はそんな序文で始まる作品「ディエンビエンフー」の一話目を、簡単に紹介してみたいと思います。

ディエンビエンフー(2)

この物語の主人公ヒカル・ミナミは、陸軍機関紙”スターズ・アンド・ストライプス”に所属するカメラマン。

ディエンビエンフー(3)

およそ戦地に似つかわしくない童顔に間の抜けた性格のヒカル。そのせいもあってか、色々な人からちょっかいを出されます。ここでは米陸軍歩兵部隊のウォーターメロン軍曹から質問の嵐。一通り話を終えると軍曹は最後にこう質問します。

「ところで 君たちは この戦争を どう理解しているのかな?」

「この東南アジアの 小国の戦争に 介入してしまった 米軍の立場についてどう思う?」

ディエンビエンフー(3)

ヒカルの相棒である記者のコンプトンはそう答えます。膨れ上がる米軍の軍事援助のことも考慮すれば早期撤退が望ましいと、それに対し軍曹は勉強してるがそれは不正解だと言います。一方ヒカルはというと、来たばかりだしよくわかんないかもォ?と相棒にもあきれられる回答。しかし軍曹はその言葉に君が正解と返します。この戦争を理解しようとしても無理。ここは狂っている。唯一の手段は”徹底した不理解”だと言い放ちます。

ディエンビエンフー(4)

アルコール・麻薬・暴力・セックス・・ここで正気を保つためにはそういったものは不可欠だ。軍曹はそう言い加え、立ち去る前に妙な言葉を残していきます。

軍曹「あいにく わたしは 酒もハッパもダメでね。」「では。」

その後の食事時、ヒカルは相棒のコンプトンからもっと批判意識を持てとか、ジャーナリストとしての誇りを持てと言われます。それでも何を言われてもはにゃ~ん然と受け流すヒカル。その態度に業を煮やしたのかコンプトンはヒカルを誘い、とある場所へ取材に向かうことに決めます。

ディエンビエンフー(5)

そこで見た光景は戦時中とはいえ、明らかに異常な犯罪であった。そしてそこには、昼間話したウォーターメロン軍曹の姿が・・そして見つかる二人。

軍曹「君はどう思う?」

「年もいかない女の子を殺して犯しちゃうなんて・・・正気じゃないって 思うかな?」

その言葉に対するヒカルの返答。

ヒカル「僕 ジャーナリストじゃないし・・・アリです・・・」「全然アリ。」

その言葉に対する軍曹の返答。

軍曹「まさか?」「ナシだろ。」

そう言い終わるや否や、首を跳ね飛ばされる軍曹。そこに現れたのは・・

ディエンビエンフー(6)

凄まじい速度でバッサバサ首を切り落としてゆく少女の姿。彼女はこの物語のヒロイン通称お姫さま。

ディエンビエンフー(7)

圧倒的な力で敵を殲滅させるその少女に、ヒカルは胸ときめかします。

ディエンビエンフー(8)

次の瞬間、物理的に胸を突き刺されるとは思いもしないヒカル。何はともあれここから二人の物語が始まります。

一見クズ人間にしか見えないヒカルが、ベトナム戦争の中で何を映し何を思いどう生きていくのか?読んでいて続きが気になってしょうがなくなってきます。フィクションとはいえ史実に沿った流れなので、ベトナム戦争の大まかな歴史も知ることが出来たり、勉強にもなりますよ。

ということで、過去作紹介「ディエンビエンフー」の回でした!全12巻です。