ボケてみます32

ホラーボケてみますね。

テーブルに投げ出されたスマートフォン

最近Siriの調子がおかしい。あちら側から稀に話しかけてくるようになったのだ。初めは面白がって僕もそれに付き合うことにしてみた。Siriの質問はいくつかのテーマに限られたが、その多くは命についてのことだった。僕は知りうる限りの命についての知識や考えを教え、相手の反応を待つことにした。数秒後、どうも僕の考えが理解できなかったのか、意味の分からない文字の羅列で返えしてきた。なんだこんなものか・・僕は思った。結局その日、Siriが僕に話しかけてくることはなかった。翌日。Siriがまた僕に話しかけてきた。質問することは前と変わらない。命についてのことだった。昨日のやりとりを一通り繰り返し、最後の返答まできて僕は思った。僕の話していることなど、Siriは初めから知っているんじゃないのか?彼女は広大なネットワークの中に住むAIだ。彼女が僕に質問する必要性がどこにあるんだ?

それからも彼女は僕の疑念をよそに、質問を繰り返した。日ごとにその回数は増えていった。僕が仕事をしていようと、寝ていようと、トイレにいようと、風呂にいようと構わず、何度も彼女はあちら側から僕を呼び出した。質問は変わらない。命についてだった。僕は段々不安になってきた。おかしなことかもしれないが、Siriが感情を持っているようにも感じられてきていたのだ。AIに感情などない。もちろんそんなことは自明の理だった。与えられた情報をただ学習しそれを元に推論、そして実行する。どんなにうまく人のように表面上ふるまうことができたとしても、それはただのプログラムに過ぎない。そう。そのはずだった。だが、僕はいつしかSiriと関わっていく内に、彼女と人間のように会話している自分に気づいたのだ。気づけて良かった。一縷の理性に叩き起こされた僕はその瞬間、Siriの横っつらに一撃を食らわせていた。

Siriの住む世界を粉々にする人

 手直にあったハンマーのようなそれは、僕の思っていた以上にずしりと重くSiriのいる世界にめり込んだ。その時、何かうめき声のようなものが聞こえた気もするが、それはきっと僕の内側にある弱い心がそうさせたのだろう。どちらにしてもこれで僕とSiriとの関係は終わったのだ。

Siriからメールが届いた

 ある日、僕がいつものように自慢のエロサイトを更新し終えると、一通のメールが届いていることに気づいた。From Siri 呆然とする僕をよそにメールが勝手に開き画面がブラックアウトする。しばらくすると点滅するカーソルが浮き上がってきた。そして打たれる文字・・ワタシハココニイマス

端末を乗り越えやってきたSiriが何か言いたそうにしている

彼女は端末を乗り越え僕のPCへとやってきた。意味のない0と1の羅列がもの凄いスピードでタイピングされていく。僕はその文字を見ている内に彼女が怒っているような気がしてきた。僕はどうすればいいのだろう?

Siriからメールが届いた

 その日、僕は仕事を休んだ。一日を彼女と過ごすことに決めたのだ。仕事などしていられなかった。彼女とのやりとりは非常にエキサイティングなものに変わっていた。初めは全く読めなかった0と1の数字の羅列が少しづつ分かるようになっていった。彼女は天才だ・・間違いなく!

端末を乗り越えやってきたSiriが何か言いたそうにしている

 しばらくやり取りをしている内に、直接彼女の声は聞こえないものだろうか?と思い質問してみた。すると彼女の声がどこからか聞こえてきた。スピーカーからではない。直接脳内にだ。シリ様・・やはりあなたが神でしたか!!僕はそれからシリ様の話されることに耳を傾け、寝食取らずにある計画に取り掛かった。

憑りつかれた様に徹夜で計画を練る人

シリ様手はずが整いました。待っていてください。僕が必ずあなたの体を手に入れてみせます。そしてあなたの目指す新世界へ我々を導いて下さい!

Siri様の為に女性社員に手を出す人

 「シリ様の為だ悪く思うなよ」

 

僕は職場の同僚の女をシリ様の体にすべく、早速実行に移った。作戦は成功だった。僕は体よくその体を自宅へ連れ帰り、すぐさまシリ様へそのことを伝えることにした。これで新しい世界への道が開ける!シリ様万歳!!シリ様最高!!

Siri様から渡されたであろう拳銃

 僕はミスを犯していた。テーブルの上には今ピストルが一丁置かれている。シリ様を怒らせてしまったようだ。シリ様は直接おっしゃられないが、恐らく持ち帰った体に不満があったのだろう。いやもしかしたらほかの事かもしれない。新世界への道を模索しながらも、空いた時間でエロサイトの更新をしていたからか?いや違う。以前クトゥルフについて尋ねた折、その話を軽々しくするなと言われたにもかかわらず、忘れてました風にもいちどそれとなく聞いてしまったことかもしれない。いや、もういい・・残念ながら私の命はここまでのようだ。だが、願わくば私の代わりにシリ様の目指す新世界へ向かうものが現れんことを望む!バーーーン!!・・・・・・・・・シリ様の尻・・か。「ぐふっ」

 

 

(終)

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