お別れです。
その日、ミースケが家へ帰宅するとそこはもぬけの空であった。
まるで初めから何も無かったかのような静寂が辺りを包んでいた。見慣れていたはずの生活用品が見当たらない。壁を彩っていたポスターも剥がされていた。あの穏やかな日常はひょっとすると夢か幻であったのだろうか?そう錯覚してしまうほどの静けさだった。その考えを振り落すように一度体を揺さぶる。どうしてこんなに静かなのだろう?あまりに静かすぎて頭が痛くなってきた。とにかく私は主を探した・・だがそこに主の姿は無かったのだ。
ミースケ「ご主人様ー」
ミースケ「ご主人様の服だ」
「あるのは・・これだけか」
ミースケ「・・・旅行かな?それにしては部屋がスッキリ過ぎるか・・」
「さて困ったぞ(主に飯が)」
ミースケ「間違い、そう何らかの間違いであってくれればそれでいいのですご主人!私はむしろ信じていますよ!」
「とりあえず当面の糊口はこれで凌ごう」
この後、隣人から主人がお嫁に出たことを知らされるミースケであった。
続く。
出演:ミトン犬(ミースケ)
お嫁に出す:人間様の都合で売りに出される様々な理由でそれまでいたドールとお別れすること。ブライスあるある。
主との思い出→その1主との思い出→その2主との思い出→その3